「住まいの見学会、完成」編

昨年構造見学会を開催した住まいは、無事完成引き渡しとなりました。引き渡しまでの間に完成見学会を予定しておりましたが、お客様にとっては年末ぎりぎりの引っ越しとなってしまいましたので現場での見学会は見送ることにいたしました。現場での見学会は叶いませんでしたが、HP上でご覧いただこうと思います。

住まいの誌上見学会 Iさんの住まい

普段の見学会ではお客様の質問に答え、完成した住まいの説明するだけで終わってしまう場合がほとんどですが、ホームページではもう少し詳しく、どう考え設計して住まいが完成したかをお話ししたいと思います。

①初回打ち合わせ~プランニング

Iさんの住まいの新築に限らず、住まいの新築のご依頼を受けお客様との初回打ち合わせは大まかな情報をお聞きし、敷地を確認して終了です。

大まかな情報とは、

〇世帯人数は何名?

〇部屋数(寝室、子供部屋の数)はいくつ必要?

〇キッチン、ダイニング、リビングは一緒のほうがいいですか

〇車庫、駐車スペースは何台分?

〇ご予算はどのくらいですか

‥ ‥ 等です。

Iさんの敷地は北側道路、西側と南側には大きな家があり、東側は空き地。比較的大きな住まいが建ち並ぶところにあり、すでに西側と南側には隣家があるので窓からの景色はあまり期待できません。東側も現在空き地であるもののいずれ建物が建つ可能性があるので考慮しておかなければなりません。北側は道路を挟んで公園があります。一般的には、東もしくは南側にリビングを考えますが、お客様の希望は「2階にリビング」ということをお聞きしていましたので、リビングは北側のほうがいいだろうと思いプランを作成いたしました。やはり最初は「なぜリビングが北側?」と思われた様子でしたが、この敷地でいちばん開放的な場所であり、また隣地の状況を考えると北側が一番いいでしょうとお客様と相談の上この場所に決まりました。その他ご希望は、

車庫は2台分と来客用に建物前面に2台分のスペース。

子供部屋は2つ(最初は1つで後に間仕切り)、寝室は1つ。

LDKはできるだけ広く。

等お聞きして、最初のプランが完成いたしました。

住まいの新築を考えている方には完成した写真とともにプランを見ていただきたいですし、初回プランをもとに話を進めたいところですが、完成した住まいと違うとはいえ類似した部分もありますので残念ながら掲載することはできません。 お客様のご希望を伺い、敷地を見てプランを作成していくのですが、作成過程で考えていたところを少しお話します。

〇車庫及び駐車スペース、玄関はどこ?

敷地は北側道路です。完成した建物には北側に車庫及び駐車スペースがあります。北側道路だからそれが当たり前、と思ってしまいますが、建物の配置によってはそうとも限りません。リビングが2階なら玄関が2階というのもアリか…。使い勝手はよくないが、縦列駐車なら接道距離に対しどの程度1階居室が割り当てられるか。車庫は単体、またはカーポートにしたらどうか。玄関は前が良いか、横か、あるいは真ん中か…。それぞれのパターンを考え、使い勝手を犠牲にしない玄関と車庫の配置はやはりここ。出した結論が当然の場所であり考える余地がないように思いますが、縦列はなぜダメか、玄関はなぜ中央ではダメか、車庫単体はなぜダメか、2階玄関はなぜダメかと考えを詰めなければ先の設計で最初に立ち返って考えることが多く残ります。また、車庫や玄関に限ったことではありませんが、お客様との打ち合わせを進めていく中で「ここはこうしたい、もう少し大きくしたい」など要望が出てきたときに、他の個所とのバランスも考えその場である程度の判断ができるように最初に考えておく必要があります。

〇リビング、寝室は?

家に帰ってまず向かう先はリビングかキッチンではないでしょうか。子供は子供部屋に直行してしまうこともあると思いますが、普通はリビングに向かうと思います。前述いたしましたがお客様のご希望は「2階のリビング」。敷地から建物内へのアプローチが想像できたところで、玄関からリビングへの繋がりを考えました。多くの時間を過ごすと思われるリビングは生活の中心地です。建物の中央ということではありません。ここへどう繋ぐかを決めるためにずいぶん時間を割きました。大きな住まいですからある程度室内を歩くことも必要になります。最短で結ぶことが最善ではく、無理な延長も好ましくありません。またここがLDKとひとくくりに決めたとしてもその中には必ず「道」ができ、玄関だけでなく洗面、トイレ、寝室ともストレスなく繋がるように配置しなければなりません。

「リビングは2階の北側」。今回プラン作成の中で優先事項と考えておりましたが、南側リビング、東側リビングも同時に考えました。西側、南側共隣家があり、カーテンを開ければ隣の家の窓や屋根。東側は空き地で開けているものの、今後住宅ができる可能性があります。前面(北側)に駐車スペースを取り、東南方向を庭として建てるとすると西側(本敷地側)に建物を寄せる可能性が考えられます。そうなった場合は東側の開放感がなくなり、より閉塞した状況になります。そういったことを考え合わせると北側の広い公園を望むようにリビングを作らなければやはりもったいない、と考えました。北側だと「寒そう、暗そう」なイメージがありますが、私たちが作る住まいは気密断熱性が高くまた解放感ある大きな窓を設置するので明るさも暖かさも確保できます。

○乾燥室とクローゼット

上越は雪国。冬季の洗濯は部屋干しです。乾燥機を使うこともありますが、多くは乾燥室を設けるか脱衣所と乾燥室を兼ねた部屋を設計します。家事の一つでもある洗濯も、「洗濯 →干す →たたむ →しまう」が家のあちこちに分散していては大変です。すぐに干せる場所がありすぐにしまう場所がある。しまった場所が今度は使う場所になる。個々にクローゼットを設けるのではなく、家族みんなの大きなクローゼット(衣裳部屋)を1か所作ったほうが洗濯をする人にとってみれば楽なはず。自分のものは自分の部屋に持っていきたい子供なら、そこから先は子供に任せればいい。洗濯物の配達は不要になります。リビングとの往復も考えながら脱衣乾燥室、浴室、クローゼット、洗面、トイレの配置を考えます。

〇外観

外観を決定づけるものとして「屋根」があります。屋根もまたいろいろな形を当てはめてみます。ただこのとき忘れてはならないことが「雪」です。雪下ろしをするならばどの方向に下すか、通路となる部分に雪は落ちてこないかなど念頭に外観を考えます。建物外観をイメージしながら平面プランを考えていきますが、平面と外観両方納得のいくものでなければ微調整。

おおよそ建物がまとまっても終わりではなく、図面を前に頭の中で実際にこの建物で生活していることを考えてみます。

車で帰ってきました…

玄関からリビングへ…

ただ今、調理中… 洗濯終了の合図が…

子供はどこへ…

お客さんが来ました…

こんな調子で、頭の中で住んでみます。(お客様と私との間に行動の差はあると思いますが、自分で納得いかなければお客様にもご提案できません。毎回図面を書くときはこんな調子です。)

また室の連絡だけを重視するのではなく建物(間取り)として楽しさ、美しさ、充実感、満足感などを盛り込むことができたか考え、更にプランを微調整。自分が考え設計したプランと、考え捨てたものを合わせて2回目の打ち合わせに向かいます。

②プランの変遷

初回打ち合わせをした後にプランを作成しますが、どのお客様であってもその最初のプランで「OKです」となることはまずありません。私たちにとって最初のプランは、頂いた情報をもとにどうすればお客様に喜んでいただける住まいになるだろうかと時間をかけ考えたものなので、何か悪いところがあるわけではありません。「もう少し大きいほうがいいかな」「これはこっちにあったほうがいい」などお客様の考えをお聞きし調整していきます。お客様にとってみればこの最初に見たプランが「そもそもこれでいいものなのか、」という気持ちが少しあると思います。プランを考えていた中で、「なぜこれはここか、別の位置ではダメか」と私が考え捨てた内容をお客様に説明し、そういったやり取りをしていく中で、私がダメと思ったことであってもお客様には別の理由がありそちらを選択したほうが良いこともあります。そこは打ち合わせを重ねていく中で解消していくものだと思います。ただ、不満はなくなったプランでも「これでいいものなのか」という気持ちは残ります。それは全く別のプランも見てみたいということだと思います。そこで2回目、3回目以降の打ち合わせでは全く別のプランをご覧いただきます。パッとひらめくときもあれば、煮詰まってなかなか出てこないこともあり時間のかかることですが、お客様に納得した家を建てていただきたいと思っていますので、いつもこんな風に打ち合わせを進めます。

全く別のプランの例がこちらです。平面など設計図書もありますが、ここでは断面でご紹介いたします。LDK側バルコニーからは良い眺めが期待できますので、ほとんどのプランはこの図のように右側にLDKを配置しておりましたが、LDKの一部にあった畳スペースを高低をつけ切り離してみたところです。居間(畳)側からの外の眺めは隣地のため期待はできませんが、LDKから見る少し高いところにある居間を室内の景色としてみることができます。無理やり階段をつけて居間を高くしたわけではありません。ちょっと秘密が…。異層3ブロックの連結で、1階から2階に直に上がる階段がありません。細かく分かれた階段ですが、階段や廊下を「道」としてみると特に不思議なものはありません。考え方の基本は初回プランと同じですが、作り方が全く異なる建物です。自分に合っているものがどれか、異なるプランを見ることでだんだんわかるようになってきます。要らない場所を切り離し、また合わないプランを捨てることで一つのプランに納得がいくようになります。

打ち合わせを重ね、お客様の納得のいく設計が出来上がったところで工事に入ります。

③着工~竣工

設計前に敷地測量をし、お客様と打ち合わせを重ねほぼ図面が決まった段階で地盤調査、その後担当役所に建築の申請をします。その後、

・地鎮祭

・やり方、地盤改良、基礎工事、足場

・建て方(本体工事)

↳屋根、建具、外装、防水、塗装、電気、水道、内装…など

・外構

等の工事を経て完成に至ります。「住まいの見学会、構造」をご覧になられた方は、基礎、木構造の様子をご覧になられたと思いますが、その様子を交えご覧いただこうと思います。

地鎮祭はお客様によっては行わない場合もありますが、ここ上越では一般的に行われています。お客様とお付き合いのある神社があればその方にお願いいたしますし、そうでないときは私たちの付き合いのある神社、神主をご紹介いたします。

着工

地盤調査に基づき、地盤改良を行います。改良の様子がこちら。

平均2.5m柱状改良

基礎根切後の杭頭の様子

プランの話にちょっと戻りますが、写真奥(南)と右側(西)に隣地建物があります。ここにリビングがあっても…と思いますよね。

基礎工事 

基礎鉄筋工終了、この後の基礎配筋検査も無事終了

基礎完成

続いて木工事建て方

私も建て方の日は作業しておりましたので、この写真は翌日の屋根葺き作業の様子です。

軸組の様子

屋根工事

隣地境界までの距離があまりない場合、軒先に落雪防止の配慮をしなければなりません。この軒先に設置している網が風穴の役割をし、屋根先端の雪を溶かし落雪防止になります。設置したお客様に聞くと「確かに落ちない」と皆さんいわれますので、住宅密集地や玄関頭上などに落雪があるときは有効です。工事完了後でも設置できます。

外装

外装完成写真は冒頭の通りですが外壁材の下は、透湿防水シート貼。まだ施工途中です。 

次は断熱工事

水発泡ウレタン アクアフォームの作業の様子。グラスウールなど他の断熱材に比べ気密性が極めて高く、断熱効果も非常に高いのが特徴です。気密断熱性能の高い鋼製建具と合わせて施工するので、保温効果の高い気密断熱住宅ができます。保温とは夏の冷房と冬の暖房の両方を指します。また一度設定した温度を持続する時間も長いので、真冬でも寝る前に暖房を切った翌朝の室内温度は18度前後と過ごしやすく、皆さんにお勧めしています。

壁天井もすべて吹き付け家全体を丸ごと保温します。

住設

住設というとキッチン、トイレ、バス、洗面などありますが、ここではロードヒーティングをご紹介します。こちらの住まいは比較的雪の少ない地域にありますが、雪が降らないわけではありません。除雪する面積、労力、コストなど考え、どう除雪するかを考えなければなりません。ロードヒーティングや井戸水、家庭用除雪機による除雪でも費用がかかります。条件を考え、お客様の希望であったロードヒーティングを施工いたしました。

内装、電気、給排水、塗装、左官、防水などと合わせ工事が進み、住まいが完成し無事お引き渡しとなりました。

プランの作成から現場の施工の様子までを含めた完成見学会をやらせていただく予定でしたが、引き渡しが年末となってしまい、お客様の引っ越しの時間が無くなってしまいますので断念。完成見学会では内外装や間取りの確認に終わってしまいがちで、なかなか設計についてお話しする時間もありません。大滝工務店の建物、設計はどんなものなのか紙面を通じ皆様にご覧いただこうと思い、今回は誌上見学会というかたちで主に設計についてお話いたしました。

最後に完成写真の説明です。

表紙 濃茶の木目調の仕上げ材と白の石目調のサイディングを組み合わせ、落ち着きのある引き締まった建物外観。2階建ての住まいですが、3階バルコニーもあり、ここからは直江津の花火が良く見えるはずです。

① 玄関ホールから見た階段室 ほかの写真と説明は重なりますが、階段室は「吹き抜けで」というお客様のご要望がありました。ただ「吹き抜けにして終り」ではなく、1階部分の階段の始まりは床面の高さを変えることでフロア自体をベンチにし、東の暖かい日差しを浴びるリラックススペースとして利用でき、またミニ滑り台を設け子供たちの遊び場としても使える機能を持たせました。写真正面の小さな入り口は寝室への近道。本来の入り口は別の場所にあります。階段板は山桜の一枚板。フロアコーナー部分もすべて山桜の天然木。

② 寝室から見た階段室 寝室の中にも階段があります。階段3段目がテレビ台として使えるように延長しています。

③ 吹き抜け上部 吹き抜け部分は構造材がすべて見えます。照明一つ一つはあまり明るくはありませんが、吹き抜け全体を少しぼんやりと照らすように設計しています。また吹き抜け(2階階段室)の周囲をぐるりと回ることができ、ここも子供の遊び場になりそうです。

④ キッチン キッチンは白い壁の後ろで見えませんが、背面の収納ユニットとセットで設置。キッチン前には欅のカウンター。その長さは約4.6mあります。キッチンカウンターの背面はテレビカウンター。こちらは約2.8mの欅の一枚板。写真にはありませんが造作家具はほかにもあります。リビングにある山桜のデスク。玄関わきに設けたコート、シューズ収納は杉など。

⑤ ダイニングからの眺め 写真を撮っている間にお客さまの家具が搬入されましたので、ちょうどよく撮影できました。この景色は、キッチン、リビングからも眺められ居心地のいい室内ができたんじゃないかと思っています。

まだ説明不足の点もございます。詳細は大滝工務店までお問い合わせくださいませ。 


住まいの新築、リフォームのお問い合わせは

☎025-599-2188 木也屋(きなりや)まで

木也屋 きなりや

木也屋では上越の住まいの新築、増改築を承っております。一戸建ての新築やリフォーム、アパートや店舗の新築や改装も承っております。木也屋の住まいの特徴は、無垢材を豊富に使った温かみとやさしさのある住まい。欅、桜、楢、胡桃など国産の広葉樹を使い、より上質な仕上がりと住み心地を実現。上越の豪雪に耐え快適な住まいをご提案いたします。店頭で広葉樹一枚板や木の器を展示販売しておりますのでお気軽にご来店ください。

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