日本家屋の再生
旧東頸城大島地区にあった茅葺の伝統的日本家屋を長野蓼科へ移築。現代の職人による屋根葺きや古今の職人技による日本家屋の再生。
建築年代 不詳 設計者 不詳
新潟県上越市(旧東頸城地区)に数年前まで使用されていた茅葺の日本家屋。
茅葺の屋根は板金で覆われ、雨露はしのげるものの老朽化が進み、一見建て直すには...と考えてしまう瞬間もある。しかしその素材は確かなものであり、柱、差し、梁にはおそらく頚城のものであると思われる欅が使われ、その多くはまだまだ未熟な伐採後150年といったところである。磨き上げれば時代の古傷も程よい意匠として浮かび上がり、あたたかみのある室内空間の演出に一役買う。 新しい主によって付け加えられたものといえば、10人掛けの囲炉裏テーブルぐらいだろうか。丁寧に仕上げた内外のしつらえが、消えつつあった「時」をつなぐ。「日本家屋の再生」。現代的な建物が並ぶ蓼科に移築されたこの住まいは一際目を引く。一度止まった足取りはなかなか動かない。
皆が集う日本家屋の居間。
丁寧に解体したこの住まいを、歪みや材料の不足を補うため一度新潟で組み上げ再び解体して、この蓼科で再建いたしました。見事な梁、柱が十分に活かされた日本家屋が完成し、当時使われていた板戸も新築では味わえない時代を感じる意匠の一部として使用されている。
茅葺屋根の小屋裏。
小屋組みの構造材は旧家屋からそのまま受け継ぎ、屋根の葺き替え工事を行いました。今ではほとんど見ることのできない茅葺屋根の「裏側」です。当時は単なる屋根裏であったところが、白壁で仕上げた「主の隠れ部屋」として利用されている。
異形多様な小屋梁。
木はまっすぐなものばかりではない。太さや、曲がり、長さも多様である。まっすぐにそぎ落とすわけではなく、いわゆる適材適所にひとつひとつがうまく利用されている。
建物外観。
避暑地としても有名な蓼科にあって、堂々と構える日本家屋。訪れた人も足を止め、しばらくはこの茅葺の家屋を前に、自らの記憶を重ね合わせる。伝統的日本家屋を間近に目にすることのなかった世代には、より新鮮なものであり、好奇心をそそる建物であるに違いない。
玄関戸。
蔵の戸を磨き上げ、玄関戸として使用されている建具の一部分。日本家屋は飾ることも忘れてはいない。
単なる住まいの新築では表すことのできない雰囲気、誰もが懐かしさを感じる姿。今では見ることも稀になってしまった茅葺の住まいですが、日本人だからこそ憧れがあるような気がします。
木也屋では古民家の移築や修繕、改装を承っております。ご相談ください。
0コメント